手間がかかる。だから奥が深い。
石駒

ヤスリは手間がかかる。見学者のほとんどが口にする「思ってた以上に手が込んでいるですね」という言葉を聞くたびに、石駒の石黒さんはヤスリの奥深さを伝えたいと強く思う。「目立てという作業は機械でやるけど、最終的には人が目で見て判断する。全自動でできるような仕事じゃないんです」。経営者だから自分の手で製造をすることはない。でも「石駒さんのヤスリはよく切れていいね」と言われるのは嬉しい。昔は、「東の日東(石駒のブランド)、西の壺玉」と最大の賛辞をもらうこともあった。だが広島にあった壺玉は、今はもうない。「ヤスリという産業が燕にあることを知ってほしい」と語る石黒さん。今は珍しくなってしまったヤスリの文化を、石駒は伝え続けている。