理論で裏付けた、剃刀の切れ味
三条製作所

三条製作所の日本剃刀は、納期まで数年待ちの人気商品。「お客様にいつできますかと聞かれても、返事しないんです。ある程度の形になった頃にあと1~2ヶ月くらい、と伝えています」と語るのは職人の水落良市さん。完成時期が分からない理由は、剃刀という刃物の難しさにある。「師匠の岩崎航介さんは東大の国史学科に入って、刀に関する古文書の勉強をしました。卒業後は冶金(やきん)を学んだり、金属の分子を研究したりして、技術の裏付けを取ったんです。それを教わったから、私は鋭利な剃刀がつくれるんです」。別の品物をつくりたいと思うこともあるが、注文が後を絶たないうちは剃刀をつくり続ける。切れ味に注ぐ情熱は、衰えることなく燃え続けている。